人間文化学部 人間関係学科 丸山 真央 学科長からのメッセージ

2020年4月21日

丸山先生 皆さん、お元気ですか。いつもの春のように、皆さんが新しいスタートを切る舞台を用意できないことを心苦しく思います。心配や不安があれば、いつでも教員に相談してもらえればと思います。

さて、閉じこもる毎日をどうやってお過ごしでしょうか。スマホ漬け? ニュースを知るのも大事ですが、深刻な情報を浴びつづけるのは、それはそれでしんどいものです。

だとするとフィクションの世界でしょうか。カミュの『ペスト』が売れているそうですし、私も先日、流行に乗って、小松左京の『復活の日』、『日本沈没』、『首都消失』を一気読みしました(中学以来!)。著者の博覧強記とSF的想像力は相変わらず圧巻でしたが、ところどころ今の現実とあまりにシンクロするので、時々本を閉じてしまいました。ハードSFも、これはこれでしんどいものです。

そんなとき、ある作家がこんなことを書いているのを目にしました。「心がすり減りつつあるなと思ったときは、いま読む必然性のない本が良い」(日本経済新聞4月11日、米澤穂信「半歩遅れの読書術」)。そこで落語の速記本を薦めていて、なるほどその手があるな、と。

速記本でなくCDを引っぱり出してきて聴いてみたら、たしかに落語の呑気な世界は、この危機の中であまりに「必然性のない」もので、どこかほっこりした気分になりました。緊張を強いられる日々の中で、心の平衡を意識的に保つことが大事だと感じた次第です。

昨今は動画サイトで簡単に落語に触れられます。県大生なら、滋賀ネタの「近江八景」や「矢橋船」ぐらいは、聴いておいて損はないでしょう。ハマったら、CDを買ったり有償ダウンロードしたりすれば、大衆芸能の危機の一助にもなります。

皆さんと直接会える日がきたら、そのときはぜひ落語の話で盛り上がりましょう。

滋賀県立大学 人間文化学部

人間関係学科 学科長 

丸山 真央