環境科学研究科博士後期課程2年の古川真莉子さんが2015年度日本環境動物昆虫学会優秀講演発表賞を受賞しました
2015/12/17
このたび、環境科学研究科環境動態学専攻博士後期課程2年の古川真莉子さんが2015年度日本環境動物昆虫学会優秀講演発表賞を受賞しました。
・日本環境動物昆虫学会優秀講演発表賞
この賞は年次大会での講演の中から優れた研究発表を2題(口頭発表1題、ポスター発表1題)を選び、その発表者に授与されるものです。優れたポスター発表として古川さんの発表が選ばれました。
・受賞講演題目:
イラガの繭はなぜ縞模様を形成するのか?
・研究内容について
イラガはガの一種で樹木の枝先や幹上に卵形の繭を形成しますが、その繭には縞模様が明瞭なものと不明瞭なものがあることが知られていました。本研究は、捕食者である鳥類の代わりに人間を仮想捕食者とした実験を行うことで、枝先では明瞭模様が捕食者から見つかりにくく、幹上では不明瞭模様が見つかりにくいことを明らかにしました。さらに、室内で人工的に条件を変えて繭を作らせる実験から、繭を形成する場所をイラガ幼虫自身が認識して模様を作り分けていることを明らかにしました。
本研究の成果は、植食性昆虫の形態形質が、捕食者の視覚に頼った餌探索とそれに対する昆虫の対抗適応によって形成されていることを、多面的な実験から明らかにしたものです。環境・被食者・捕食者の相互作用が、生物の多様性をもたらしていることを身近な昆虫を題材として示しました。