大学院工学研究科材料科学専攻の佐藤嘉計さんと住野翔郷さんが、平成30年度プラスチック成形加工学会秋期大会・成形加工シンポジア’18において「優秀ポスター賞」を2件、受賞しました
11月26日〜27日にグランドホテル浜松(浜松市)において開催された平成30年度プラスチック成形加工学会 成形加工シンポジアにおいて、本学大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程の佐藤嘉計さんと住野翔郷さんのそれぞれの発表が「優秀ポスター賞」を受賞しました。
本賞は、若手・学生が行ったポスター発表の中で優秀な発表に贈られるもので、今回は96件のポスター発表のうち、6件が選出され、その中の2件に本学学生の発表が選ばれました。大会初日の夜、グランドホテル浜松・鳳凰の間にて開催された懇親会において表彰式が行われました。
■発表内容について
①発表題目:カルド処理CNF/ポリプロピレン系複合材料の物性評価研究
発表者:滋賀県大・佐藤嘉計、竹下宏樹、徳満勝久、大阪ガス・山田昌宏,杉本雅行
近年,地球温暖化防止のためにCO₂排出量の削減が求められています。また、そのCO₂削減方法の1つとして「自動車の軽量化」が挙げられ,現在様々な自動車部品が軽量なプラスチック材料に置き換えられており,自動車の外板は温度が大きく上昇することより,高い耐熱性が求められています。本研究では,近年注目されているセルロースナノファイバー(CNF)と汎用樹脂であるPPを複合化する際に、カルド材料で表面処理を行ったCNFとPPとの相互作用を有するポリシランを添加することより、高温力学物性の向上,さらには熱膨張係数の低下効果について検討を行った結果を報告しました。この成果は、CNFの樹脂複合材料への応用を加速する技術として期待されます。
②発表題目:水素ガスバリア性を有する新規EVOH/PA系複合材料に関する研究
発表者:滋賀県大・住野翔郷、徳満勝久、竹下宏樹、日本合成化学工業・澁谷光夫,九州大院工・西村伸,藤原宏匡
未来の水素エネルギー社会を担う一翼として燃料電池自動車(FCV)が挙げられます。FCVの燃料である水素は、内層材を樹脂で形成されたタンクに約70MPaで貯蔵されていますが、高圧水素の充填放出に対する耐性(高圧水素耐性)と放出時の温度低下(低温力学物性)の両立が完全にはできていないのが現状です。そこで、本研究では高圧水素耐性と低温力学物性を両立するために、更なる相溶性の制御に向けて低エチレン変性BVOH/Nylon6-66系複合材料を調製し、その各種物性の評価(相溶性・モルフォロジー、自由体積・高圧水素耐性、低温力学物性)を行った結果を報告しました。この成果は、水素貯蔵タンクへも応用を初め、低温や高温で保存される食品等の保存期間の延長等にも利用できる技術と期待されます。
左より,佐藤君,徳満教授,住野君。
ポスター賞受賞の6名と島村実行委員長