大学院材料科学専攻の浅井敬祐さん,森田大智さんが,ガラス科学の国際会議,ICG Annual Meeting 2018でStudent Poster Awardを受賞しました。

2018/10/10
 

 大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の浅井敬祐さん,森田大智さんが,ガラス科学の国際会議,International Commission on Glass (ICG) Annual Meeting 2018でStudent Poster Awardを受賞しました。

本表彰は,ガラス科学の国際会議,ICG Annual Meeting 2018(2018年9月23−26日,パシフィコ横浜)のポスター発表の中で,優れた発表を行った学生に贈られるもので、本年度は日本,ロシア,ドイツ,アメリカなど29か国からの発表50件の中から5件の発表が選ばれました。

ICG受賞_森田 浅井

浅井敬祐さんの発表

■題目: In-situ Evaluation of Stress Distributions and Cracking Behaviors in Silica and Soda-lime Glasses (シリカおよびソーダ石灰ガラス内の応力分布とクラック発生挙動の「その場」評価)

■発表者: 浅井敬祐,吉田智,山田明寛,松岡純,Andrei Errapart,Charles Kurkjian

■概要: ガラスがもろく壊れやすいのは,ガラス表面に存在する傷(クラック)に応力が集中するためです。そのため,クラックがどのように発生するかを理解することは,高強度ガラスの開発のためには重要です。ガラス表面のクラックは異物との衝突により発生するため,本研究では,クラック発生の前駆現象である押し込み変形に着目しました。ダイヤモンド製の針を2種類のガラスに押し込む試験を行い,その試験中に光弾性法という手法でガラス内部の応力分布を定量的かつ3次元的に決定することに成功しました。さらに,同じ押し込み条件であっても,ガラスの種類によって誘起される応力分布は異なり,このことがクラックの形状や発生タイミングが異なる原因であることを明らかにしました。

森田大智さんの発表

■題目: In-situ Structural Observation of Aluminosilicate Glasses at High Pressure(高圧下におけるアルミノケイ酸塩ガラスの「その場」構造観察)

■発表者: 森田大智,山田明寛,吉田智,松岡純,坂巻竜也,鈴木昭夫,若林大佑

■概要: スマートフォンのカバーガラスなどに使用されるガラスは,高い強度が必要とされ,多くの場合「アルミノ珪酸塩」と呼ばれるアルミニウムとケイ素の酸化物を主原料としたガラスが用いられています。このガラス材料にマグネシウムの酸化物 (MgO) を添加することで「割れ」に対する強度が向上することが知られていました。しかしながら,何が原因で強度が上昇するのか,よくわかっていませんでした。本研究では,放射光X線と呼ばれる強力なX線を用いて,ガラスに圧縮応力を加えながら原子レベルでの構造の変化を直接観察しました。その結果,MgOの添加によって,応力に対してガラス中のAl3+イオンの多面体構造が変化しやすくなることがわかりました。この発見によって,本ガラスの割れにくさは,応力に対する原子配列の順応のしやすさが原因である可能性が示唆されました。