大学院材料科学専攻の「竹島さゆりさん」と「森村光稀さん」が 「第68回高分子討論会優秀ポスター賞」を受賞しました。
大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の竹島さゆりさんと森村光稀さんが、第68回高分子討論会で優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子討論会は公益社団法人高分子学会が主催する三大行事のひとつであり、今回は9月25日〜27日に福井大学文京キャンパスにて、全国から3000人を越える参加者が集まって開催されました。
高分子討論会における優秀ポスター賞は、学生(博士課程含む)および35歳未満の研究者の発表に対して、予稿原稿の内容による第一次審査、当日の発表をもとにした第二次審査を経て厳正に選ばれます。今回、約800件のポスター発表のうち優秀ポスター賞は46件で、一つの研究室から修士課程の学生2名が同時に選ばれたのは快挙です。
(受賞者一覧:http://main.spsj.or.jp/tohron/68tohron/posteraward.pdf)
(竹島さんの発表内容について)
発表者:竹島さゆり、伊田翔平、金岡鐘局
題 目:高密度構造に起因するコア架橋型星型ポリ(N-イソピロピルアクリルアミド)の
特異的温度応答挙動
発表の概要
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)は温度変化に対して水への溶解性が大きく変化するポリマーであり、その独特の性質から温度センサーなど様々な応用に用いられています。この温度応答性はポリマーの構造によって変化することが知られており、分岐構造になると多くの場合水となじみにくくなる(疎水化する)ことが報告されています。それに対し本研究では、より高密度な構造を持つ星型ポリマーになることによって、水との親和性が上昇する特異的な挙動を発現することを新たに見出すとともに、さまざまな構造因子の影響を詳細に調べました。なお、竹島さんの研究の一部は、10月13日付で英文学術雑誌Polymer Journal誌(Springer Nature発行)への掲載が決まっています。
(近日公開予定。Polymer Journal誌URL:https://www.nature.com/pj/)
(森村さんの発表内容について)
発表者:森村光稀、伊田翔平、金岡鐘局
題 目:RAFT重合誘起組織化を利用した架橋ドメイン構造を有するヒドロゲルの設計と
空気中における熱応答特性
発表の概要
温度変化に対して性質を大きく変化する感温性高分子ゲルは、外部環境の変化を自律的に認識して動作する材料として様々な応用が期待されています。その一方、感温性ゲルの多くは、外部との水のやり取りによって体積を変化させる形で応答挙動を示すため、外部水の存在を必要としていました。本研究では、外部水の必要がなく、空気中で応答変化する新しいゲル材料を創出するため、「重合誘起自己組織化」と呼ばれる合成手法に着目した新しいゲルの合成法を提案するとともに、得られるゲルが空気中において特異的な熱応答力学特性を示すことを見出しました。なお、森村さんの研究の一部は、10月14日付で英文学術雑誌Polymer Chemistry誌(英国王立化学会発行)への掲載が決まっています。
(論文URL:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/py/c9py01417a#!divAbstract)