工学部材料科学科の伊田翔平講師が、Macromolecular Rapid Communications誌において「Young Talent in Polymer Science」に選出されました。
工学部材料科学科の伊田翔平講師が、Wiley社(米国)が発行する学術論文誌『Macromolecular Rapid Communications』(以下、MRC誌)におきまして、「Young Talent in Polymer Science」に選出されました。MRC誌は速報論文を主体とした高分子化学の専門誌であり、同分野におけるトップジャーナルのひとつです。同誌では4月26日付で、高分子化学分野において新規性・独自性の高い研究を推進する若手研究者の特集号を刊行しました。この特集号では、推薦を基にした編集委員会による候補者選出の後、論文の査読審査を経て、13ヶ国から21名の若手研究者の論文が掲載されており、伊田講師はそのうちの一人として選出されました。また、掲載された論文の研究は伊田講師・金岡鐘局教授を中心とする本学の研究グループと滋賀県工業技術総合センターの共同研究として行われたものです。
【論文の概要】
著者:伊田翔平(材料科学科講師/責任著者)、戸田翔伍(2020年度材料科学専攻博士前期課程修了)、大山雅寿(滋賀県工業技術総合センター研究員)、竹下宏樹(材料科学科准教授)、金岡鐘局(材料科学科教授/責任著者)
題目:
Multiarm Star-Crosslinked Hydrogel: Polymer Network with Thermoresponsive Free-End Chains Densely Connected to Crosslinking Points(多分岐星型ポリマー架橋ヒドロゲル:架橋点周囲に温度応答性自由末端鎖が高密度に結合した高分子ネットワーク)
内容:
生体中の軟組織は高分子から成る網目に水を含んだゲル状物質で、精巧に創られた構造の下、動的に機能を発現しています。人工のゲル材料でこのような高い機能を実現するためには、合成方法を工夫して多種の成分を組み込み、動的な機能を制御することが重要です。本研究では、中心核に多数の高分子が結合した構造を持つ「多分岐星型ポリマー」をゲル網目の繋ぎ目として用いることで、繋ぎ目の周囲に運動性の高い高分子鎖が結合した新規な構造を有するゲルを合成しました。得られたゲルは従来のゲルよりも高い力学特性を示すとともに、熱刺激に応答して強くなる性質を示すなど、独特の構造に由来する機能を発現しました。
【関連情報】
特集号URL(Young Talents in Polymer Science)
https://onlinelibrary.wiley.com/toc/15213927年2021月42日/8
論文URL(Macromol. Rapid Commun., 2021, 42, 2000558.)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/marc.202000558