材料科学専攻博士前期課程の森下晴斗さんが第17回有機π電子系シンポジウムでポスター賞(BCSJ Award)を受賞しました
2024年12月26日
大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の森下晴斗さん(指導教員:加藤真一郎准教授)が、第17回 有機π電子系シンポジウムでポスター賞(BCSJ Award)を受賞しました。本表彰は、このシンポジウム(2024年12月13~14日、鎌倉)において行われた若手研究者のポスター発表の中で、優れた発表を行った発表者に対して贈られるものです。
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発表内容について
題目
対面積層構造を有する架橋トリフェニルアミン二量体のカチオン種の合成,構造および物性
発表者
森下晴斗・北村千寿・石田尚行・鈴木修一・武田貴志・芥川智行・加藤真一郎
概要
一つの不対電子と一つのスピンを有する化学種はラジカルカチオンと呼ばれます。ラジカルカチオン同士、またはラジカルカチオンと中性種が近接した構造は、それぞれπ-dimer、π-merと呼ばれ、母体のラジカルカチオンでは見られない独特の物性を示すことから、新しい材料として興味がもたれています。しかし、ラジカルカチオンは一般に不安定であることに加え、近接した構造をとらせることは有機合成の観点から難しく、π-dimer、π-merの構造や物性は十分に検討されていませんでした。本研究では、独自に開発した安定なラジカルカチオンを構成要素として、対面積層構造を有する分子を設計し、安定なπ-dimer、π-merを合成することに成功しました。その結果、分子骨格に含まれる硫黄/酸素原子の違いなどを反映して、構造と物性が劇的に変化することがわかり、機能性材料に相応しいπ-dimer, π-merを合理的に設計・合成するための指針が得られました。今後は、ラジカルカチオンをレゴブロックのように見立てて、多彩な構造をもつ分子を開発していく予定です。