大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程1回生の谷口真梧さんが日本セラミックス協会 第36回秋季シンポジウムで優秀講演奨励賞を受賞しました
2023年10月4日
大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程1回生の谷口真梧さんが、日本セラミックス協会 第36回秋季シンポジウムで優秀講演奨励賞を受賞しました。本表彰は、このシンポジウム(2023年9月6日~8日、京都工芸繊維大学、ハイブリッド開催)のセッション「超秩序構造科学が創造する物性科学」において行われた若手研究者・学生の口頭発表の中で、優れた発表を行った発表者に対して贈られるものです。今回は、15名の対象者の中から2名に授与されました。
発表内容について
題目
ホウケイ酸塩ガラスの異方性の発現と網目構造の変化
発表者
谷口真梧1、山田明寛1、柴田大輔2、松岡純1(1滋賀県立大学、2立命館大学SRセンター)
概要
ガラス材料は、一般的に硬さや屈折率などに方向性をもたない「等方性」材料として広く利用されています。しかしながら、ある特定の分子構造をもつガラスに力を加えて変形させると、その構造が規則的に再配列し、性質に方向性をもつ「異方性ガラス」となることがあります。ホウケイ酸塩ガラス*中には、ホウ素イオンが三つの酸素イオンに囲まれた三角形型の構造(3配位ホウ素)が部分的に存在し、それらが不規則に繋がることで多数の分子群を形成しています。これらの分子は加わる力に応じて再配列を起こし、異方性ガラスとなる可能性があります。本研究では、約4万気圧、最高600℃の高温高圧条件で引張りの力をホウケイ酸塩ガラスに加えることで、異方性ガラスの合成に成功しました。さらに、強力なX線を用いて分子構造の配列を調べたところ、3配位ホウ素が引張の力の方向へ配列していることを明らかにしました。現在は、より大きな変形をガラスに与えることでさらに大きな異方性をもつガラスの合成に挑戦しています。
*ホウ酸(B2O3)とケイ酸(SiO2)を主成分とする特殊ガラス。ディスプレイ用の板ガラスや医薬品の容器用など幅広く利用されています。