工学研究科材料科学専攻の中村海人さんが第73回高分子学会年次大会優秀ポスター賞を受賞しました

2024年7月5日

大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の中村海人さんが、第73回高分子学会年次大会で優秀ポスター賞を受賞しました。
高分子学会年次大会は、公益社団法人高分子学会が主催する三大行事のひとつであり、今回は6月5日〜7日に仙台国際センターにて開催されました。
今回、約750件のポスター発表の中から、予稿原稿の内容による第一次審査、当日の発表をもとにした第二次審査を経て、56件の優秀ポスター賞が選出されました。

受賞者一覧

発表内容について

題目

精密シーケンス制御による特殊な溶解挙動の発現:両親媒性交互共重合体の共良溶媒性

発表者

中村海人1、伊田翔平1、井田大地2、領木研之2、寺島崇矢2、金岡鐘局11滋賀県立大学、2京都大学)

概要

「モノが溶ける/溶けない」といった溶液中での物質の振る舞いを理解することは、学術的にも産業的にも大変重要です。特に高分子は、構成する成分(モノマー)の組み合わせやその並び方(連鎖配列)によって溶解挙動が多様化し、さらに2種類の溶媒を組み合わせた系では複雑な挙動を示す可能性があります。発表者の研究グループでは最近、水との親和性が大きく異なるモノマーを交互に配列させたポリマー(両親媒性交互共重合体)が、室温で水にもエタノールにも溶けないにも関わらず、水とエタノールの混合溶媒には溶解するという極めて珍しい「共良溶媒性」現象を示すことを発見しました。本研究では、この特異的な現象の発現メカニズムについて種々の測定を通して考察するとともに、さまざまな構造を持つ両親媒性交互共重合体を合成し、混合溶媒中での溶解挙動を系統的に評価しました。

なお、中村さんの研究の一部は最近、英文学術論文としてアメリカ化学会が刊行する学術誌「Macromolecules」にも掲載されています(論文へのリンク)。

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