アメリカ留学レポート

国際コミュニケーション学科 高橋 綾さん

アメリカ オーバーン大学モンゴメリー校 留学レポート3

 ついに最後の留学レポートを書く時がやってきました。「あっという間だったなぁ」というのは帰国を間近に控えた今だから言えることで、この9か月間は私にとって短くも長くもありました。それは今までに過ごしたことのないくらい刺激的で濃密な時間だったからです。今回は、私がアメリカでの留学経験から学び、感じたことをこの最後のレポートにまとめたいと思います。
 まず、書きたいのが自分を出すことの大切さです。よく日本は集団主義的傾向が強く、その一方でアメリカは個人主義の国だと耳にします。このように一口に言ってしまうのは適切なのかわかりませんが、私は、似たようなことを感じました。たとえば、授業中、学生は授業の内容に関する意見や質問だけでなく、内容とは無関係に思える個人的な意見や、自分が聞き逃したことを聞くため、授業が進む中、ためらいなく発言します。黙って席に座っているよりは断然いいことだとわかっていながら、私には同じことがなかなかできませんでした。その理由は明確で、自分は不必要に周りの目を気にしているのです。日本では、学生という集団に属しておとなしく授業を受けていれば済んだものが、ここでは個が試されているようで、求められるものの違いに初めは戸惑いました。授業以外でも、いろいろな人との出会いを通じて考えさせられることは少なくありませんでした。多様な価値観をもつ人たちと過ごす中で、今まで私の中にあった常識みたいなものがひっくり返され、自分の心の狭さや、つまらない考え方にとらわれていたことが、嫌でも一気に露呈してきました。また、私には自分を表現しようとする意志が足りていないと感じました。周りに調和することや、協調性を持つことはもちろん重要ですが、個としてもっとおもしろくありたいし、自分を出せるようになりたい、とここでの経験を通して思うようになりました。
 次に、私は色々な意味でかなり強くなったと思います。ここにきてすぐの頃、悩みがあっても日本語で相談できる相手がいなかったので、貧相な英語で必死に話すもうまく伝わらず、精神的につらい時期がありました。親元を離れて暮らすのも初めてのことで、今まで親に何もかも任せっきりだった私は、家事やお金の管理をまともにしたことがありませんでした。すべてを自分でやらなくてはいけなくなって初めて親のありがたみを身に染みて感じました。ルームメイトとの寮生活は、自分をたくましくしてくれました。一部屋をタンスで仕切った簡素な造で、正直、楽しいことだけではなく、我慢することは多かったけれど、家族としか一緒に暮らしたことがなかったのでいい経験でした。少しのことでいちいち動じなくなったのも私にとっては大きな変化でした。これ本当に大丈夫なの?と不安に思うようなことほど案外すんなり解決することもしばしばで、無駄に気を揉む性格が少しはましになったと思います。いい意味でのテキトーさも身に付いたと思います。
 大学に入る前から漠然とすると決めていた留学は、自分が想像していたよりはるかに多くのものをもたらしてくれました。たくさんの人との出会いを通して今までは考えもしなかったことに気づき、自分自身や自分の価値観を色々な角度から見つめることができました。大学の授業は現地の学生に引けめを感じることなく頑張り、満足のいく成績で終えることができました。肝心の語学に関しては、確実に力をつけることができたと断言できる一方、まだまだだなとも感じます。これからもこの留学で得たものにどんどん上積みしていかなくてはなりません。留学してよかったと心から思える今、支えてくれた両親や大学の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

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