フランス留学レポート

国際コミュニケーション学科 松下 奏未さん

フランス リール政治学院   留学レポート2

 4月になりました。サマータイムになり、天気の良い日が続いています。待ちゆく人々の服装は軽やかになり、公園はピクニックや昼寝をする人で連日にぎわっています。私のフランス滞在期間も残すところ4カ月となりました。

 3月は特にバカンスがあったわけではなく、大きなイベントがあったわけではありませんが、リールで過ごす日々の全てが私には輝いて見えます、たとえ次の日にテストや提出を控えていて追い込まれてる日であっても。マルシェに行ってサングリアを作ったり、お花を買って育ててみたり、留学生の友達に日本料理をふるまったり、母語を教えあったり。正直今は日本に帰国したくないと思う日が以前に比べると非常に増えました。そう思うことができるのは、今がバカンス時期だからかもしれませんが。

毎回思うのですが、私のレポートといえば、勉強が大変ですが充実してるということしか書いてないような気がします。しかしながら、少しずつ私自身は変わっているようで、家族は敏感にその変化に気づいているようです。

現在、家族とフランスで再会して旅行したり、のんびりした休日を過ごしています。時間に追われながら過ごしている日本では考えられないようなことかもしれません。日曜日には、お店が閉まって、公園でピクニックしたり、ただ寝転がってゆったりとした時間を楽しんだりご飯を食べたり。美術館にいって芸術を楽しんだり。私はフランスの時の流れ方が好きです。そして彼らの考え方や、親子との接し方も。最近、第1日曜日(美術館の入場料が無料の日)は決まって近くの美術館に行ったり、フランスの学生は無料なのでルーヴル美術館に足を運んだりしています。展示物ももちろん見るのですが、注目すべきはフランス人の親子の会話。あの絵は誰が、どんな時に書いたのだとか、あの絵はこういう気持ちが表れているだとか、絵の横にある説明には全く書いてない知識を親は子に伝え、また子供も自分の思う意見を親に伝えるのです。たまにクスッと笑っちゃうような可愛い意見があったかと思えば、論理的に述べている子供もいたりして、驚かされるのと同時に彼らのフランス語を聞き取れたことに素直に嬉しく感じています。

 さて、そんなゆっくりした時が流れているフランスにも大切な決断の時が近づいてきました。大統領選挙です。ニュース番組ではもちろん大々的に取り上げられ、sciences po 内でも学生たちが投票する模倣選挙があるなど盛り上がりは相当なもので、授業中や授業外でも留学生、フランス人構わず必ずその話題が出てきているといってもいいほどの状態です。私も先日、集会が近くで行われるとのことでフランス人の友人といってきました。初めての政治集会だったので、もうただひたすらに驚きで、それも極右の政治集会に行ってきたのでマルセイエーズを急に歌いだしたり、移民政策についてマリールペン氏が話し出した時の会場の熱のこもった空気などに私はただただ口をぽかんと開いていました。ほかの候補者も選挙活動に当たり前のことながら熱心で、そして支持者のほうも。フランスは近年代議制民主主義の弊害とでもいうべきなのか、どこか1つの政党を支持する人が少なくなりつつある傾向がありますが、それでも政治に興味を持っている人は多く、sciences poではない大学に通うフランス人の友人もたくさんの政治的知識を持っていて、日本と比べて政治的関心が非常に高いことがうかがえます。

 今回の大統領選挙に出馬している候補者のマーケティングの仕方や問題点なども授業では取り扱ったりすることも多いので、実際に今習っていることが現状をよりよく知るために活かされていて凄く政治の授業は楽しくなってきました。sciences poに来るまで世界情勢を知るということがこんなに大事だと感じたことはそこまでありませんでしたし、自分がここまで日本の政治について知らないことも思っていませんでした。ただただ政府の不満を言うだけではなく、しっかりと構造や意図を理解し、マスメディアに踊らされない知識を蓄えていきたいですし、その基礎となる考え方をsciences poでも残りの時間で学びたいと思います。